ゴールと前提
目標はシンプルです。PCでClash Verge Revが稼働し、購読とルールが通っている状態で、スマホのブラウザやアプリが明示的HTTPプロキシ経由で同じ出口ノードに乗ることです。TUNモードでPC全体を載せ替える話や、ルーターで透明プロキシにする話とはレイヤが異なります。モバイル側は「プロキシホスト=PCのLAN IP」「ポート=mixed-port」の二点を正しく入れられれば足りることが多く、逆にここがずれるとログに一切出ず途方に暮れがちです。社内ネットワークや他人の回線では利用規約とポリシーを必ず確認してください。
なぜ mixed-port を使うのか
Mihomo/Clash Meta系では、port(HTTP)、socks-port(SOCKS5)、そして両者を束ねるmixed-portを組み合わせられます。スマホのWi‑Fiプロキシ設定は多くの場合HTTPプロキシ入力欄が中心で、番号を一つにまとめておくと運用ミスが減ります。既存プロファイルが7890など別々に分かれている場合でも、GUIの「設定」や生成されるYAMLでmixed-portを有効にし、モバイルからはその番号だけを指すのがわかりやすいです。細かい文法はバージョンで差が出るため、実際の画面と生成YAMLを突き合わせてください。
# Excerpt — align with your profile; values are examples
mixed-port: 7890
allow-lan: true
bind-address: '*'
# Some builds use: bind-address: 0.0.0.0
ヒント:allow-lanをtrueにしても、OSやクライアントが127.0.0.1だけにバインドしているとLANからは届きません。bind-addressと実際のListen行をセットで確認してください。
Clash Verge Rev 側の操作の型
バージョンごとにメニュー名は変わりますが、流れは共通です。設定またはコア設定でmixed-portをオンにし、番号を決める。Allow LAN(または同等のLANからの接続を許可)を有効にする。保存後、プロファイルを再読み込みする。ここまで終えたらPC上でブラウザを開き、システムプロキシではなく手動プロキシを127.0.0.1:番号に一時指定して疎通確認すると、LAN公開前の段階で切り分けができます。TUNだけ有効でポートリスナーが期待と違う構成になっているケースはTUNモード解説と併読すると整理しやすいです。
PCのLAN IPアドレスを取り間違えない
スマホに入力するのは192.168.0.1のようなルーターではなく、Clashを動かしているPCのIPv4です。WindowsではコマンドプロンプトやPowerShellでipconfigを実行し、今つないでいるアダプタ(EthernetまたはWi‑Fi)のIPv4アドレスをメモします。VPNや仮想スイッチが複数ある環境では、行が増えて読み間違えやすいので、SSID名とセットで確認してください。ゲストWi‑FiやAP隔離が有効だと、同じSSIDに見えてもクライアント同士が通信できずプロキシに届きません。ホームルーターの設定画面でクライアント分離の有無を一度見てください。
Windows ファイアウォールで受信を許可する
Clash Verge Revの実行ファイル、またはTCPで待ち受けているポートに対して、プライベートネットワークからの受信を許可する必要があります。Windows Defender ファイアウォールの「詳細設定」で受信の規則を追加し、プロトコルTCP、ローカルポートにmixed-portの番号、プロファイルはプライベートに限定するのが無難です。サードパーティのセキュリティ製品を入れている場合は、OSのルールだけ許可しても別レイヤでブロックされることがあります。テスト時だけ一時的に無効化できる環境なら切り分けに使えますが、本番運用では必要最小限の許可に戻してください。
Android / iOS の Wi‑Fi プロキシ設定
Android
機種により表記は異なりますが、Wi‑Fi詳細設定からプロキシを手動にし、ホスト名にPCのIPv4、ポートにmixed-portを入力します。保存後、ブラウザで接続先を確認するか、Clash側の接続ログにスマホ由来のフローが出るかを見ます。キャプティブポータル付きの公共Wi‑Fiではプロキシが無効化されることがあります。
iOS / iPadOS
設定 → Wi‑Fi → ネットワークの情報ボタン → HTTPプロキシを手動にし、サーバとポートを入力します。システム全体に効くため、試験が終わったらオフに戻す習慣を付けると安全です。企業MDMでプロキシがロックされている端末では編集できないこともあります。
つながらないときのチェックリスト
- 同一セグメントか:ゲストSSID・VLAN・AP隔離でPCとスマホが互いに届かない状態になっていないか。
- IPとポート:PCのIPv4が変わっていないか(DHCPの再割当)。mixed-portの番号と一致しているか。
- allow-lanとbind-address:LAN向けにListenしているか。PCローカルでは通るがスマホだけ不通ならここが濃厚。
- ファイアウォール:受信規則でTCPが許可されているか。複数プロファイルのうちパブリックだけ開いていてプライベートが閉じている、という逆パターンにも注意。
- Clash本体:プロファイルエラーでコアが落ちていないか、Direct固定になっていないか。
- DNS:モバイル側のDNSが別経路だと体感だけ不調に見えることがあります。深掘りはDNSリーク防止ガイドへ。
セキュリティ:LANにプロキシを晒すと、同じネットワークにいる機器から中継に悪用されやすくなります。信頼できる自宅LANに限定し、不要になったらallow-lanをオフにするか、ファイアウォール規則を削除してください。
クライアント入手とドキュメント
インストーラや更新は、リリースの対応関係が追いやすい本サイトのダウンロードページから行うのがおすすめです。公式ダウンロードページでビルドを選び、用語の整理はドキュメントも参照してください。ソースやIssueは各プロジェクトのGitHubで確認できますが、配布物の入手はサイトの導線に寄せると目的が混線しにくくなります。
まとめ
Clash Verge RevでスマホをPCプロキシに乗せる要点は、mixed-portで番号を一本化し、allow-lanとバインドでLANから届くようにし、Windowsファイアウォールが受信を止めていないことを確認することです。その上でWi‑FiプロキシにPCのIPv4と正しいポートを入れれば、同じSSIDでもゲスト隔離さえなければ多くの環境で動きます。単体PCの初期導線はWindows向けセットアップと線を揃えると再現性が高まります。
類似ツールと比べても、Clash系はルールとログの見え方が整理されやすく、LAN共有のような少し外れた要件でも手戻りを抑えやすいです。まずは手元のPCでポートを確実に開き、スマホはプロキシ設定だけ変える段階的な進め方が安全です。